ようやくTPPの本質が見えてきた
いいかげんにも程がある。環太平洋連携協定(TPP)交渉のテーブルに着けば、医療分野の「混合診療」の全面解禁が議論になる可能性があると外務省が明かした。7日のことだ。議論の対象になっていないと説明してきたのにコロッと変わった。
公的な保険診療と保険外の自由診療を併用するのが混合診療だ。値段が高くても最新治療を受けたい患者はいる。だが、病院や製薬会社が診察料、薬価を自由に決めていい診療が広がれば、金持ちだけが高度な治療を受けることができ、そうでない人との格差が生じるとの批判が絶えない。
8日になって今度は、米国が医薬品分野の規制改革を重点要求していることを明かした。これこそが本命なのだろう。圧倒的な競争力を誇る米国の医薬品を日本市場に売り込む狙いがあるのは明らかだ。衣の袖からよろいがのぞく。ようやくTPPの本質が見えてきた。
きょうにも首相が交渉参加を表明するという間際に重要情報を出す。しかも小出しにする。随分国民をなめたやり方ではないか。将来、交渉の議題に上って政治問題化したときに、みなさんには事前にちゃんと伝えていましたよという言い訳に使うのだろう。
少ない負担で誰もが良質の医療を受けることのできる国民皆保険制度の土台が揺らぎかねない。それほどの大問題だ。メリットとデメリットをよく考えた上で決断しないと、後でこんなはずじゃなかったとほぞをかむことにもなる。スケジュールありき、熟議なき政治を憂える。(東奥日報) Tweet

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