生物テロに悪用される懸念の声が上がったことから、毒性が強いH5N1型鳥インフルエンザの哺乳類への感染実験を自主的に停止していた世界の研究者ら40人は、研究を1年ぶりに再開することを決めた。23日付の米科学誌サイエンスと英科学誌ネイチャーの電子版に声明を発表した。
安全に実験するための条件が整ったことが理由としている。ただ問題の発端の一つとなった東京大医科学研究所の河岡義裕教授らの研究は、助成を受けている米国で安全に研究を進めるための審査基準作りが終わっていないことから、まだ再開できないという。
声明で研究者らは「研究には公益性があるとさまざまな場で説明し、幾つかの国では安全対策も見直した」と説明。「世界的大流行に備えて研究は不可欠だ」としている。
河岡教授は「(研究再開は)研究をしないリスクが大きいとの意見が多くなった結果だ。日本では感染実験の基準が決まっておらず、基準が必要だ」と話している。
この問題をめぐっては、米政府の科学諮問委員会が2011年末、生物テロへの悪用の懸念があるとして、科学誌に掲載予定だった河岡教授らの論文の一部削除を勧告。研究者らは研究の重要性などを説明するため12年1月から自主的に研究を停止した。勧告はその後撤回され、論文は公表されたが、研究停止は続いていた。
(山陽)
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