原因不明の疲労が半年以上続く慢性疲労症候群(CFS)の患者の脳では症状の重い炎症が広い範囲で起きており、脳の機能低下を招いているとみられることを大阪市立大や理化学研究所などのチームが突き止め、4日発表した。
既存の検査では異常がなく見逃されることがあるCFSの診断指標や治療法の開発に役立つと期待される。
チームの理研ライフサイエンス技術基盤研究センター(神戸市)の渡辺恭良センター長は「うつ病など他の病気と比べる必要があるが、CFS発症と脳内炎症には深い関係があるとみられる」と話す。
チームは脳の炎症が起きた部分で多く作られる「TSPO」というタンパク質の量を、患者と健常者を対象に陽電子放射断層撮影(PET)検査で調べた。
すると、患者は健常者の約2倍、炎症の程度が重かった。症状が重いほど炎症もひどかった。
認知機能の低下や頭痛など症状の違いによって、炎症が生じる脳の部位も違うことが分かった。
大阪市立大の中富康仁博士(疲労医学)は「患者は怠けているだけなどと偏見にさらされている。客観的指標を示すことで周囲も病気を理解しやすくなる」と指摘する。
成果は米科学誌電子版に掲載された。(山陽)
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