「吹けば飛ぶような将棋の駒に…」。老人保健施設・福寿荘(倉敷市中島)の一室から、お年寄りの楽しそうな歌声が聞こえてくる。歌や楽器演奏を通じ、病気、事故などで低下した身体機能の向上や心のケアを図る「音楽療法」。伴奏のキーボードは音楽療法士の石井未来さん(30)が担当する。
認知症の高齢者5人が参加したこの日のプログラムは、村田英雄の「王将」や、「岸壁の母」「お富さん」など昭和の歌謡曲が大半を占める。「本当によくはやった曲じゃ」「優しかった母親を思い出す」。森川福市さん(92)は昔を懐かしむように、穏やかな笑みを浮かべる。
一緒に歌ったり、手を取ってタンバリンや太鼓のたたき方を教えたり…。約40分間、石井さんが動きを止めることはない。音楽を媒介とした触れ合いによって「ストレス発散だけではない。徘徊はいかいが収まるなど、認知症に伴う行動障害が軽減されることもある」と効果を語る。(山陽)
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